左カレイの右ヒラメ

またの名をひーさん記

乳首には優しくした方がいい。

乳首の毛が雑に伸びている。

 

そもそも体毛のケアを全くしていない。

 

毛はないに越したことはない。

むしろスベスベの肌が好きだ。

 

でもセックスをする時に「あ、この人剃ってるんだな」ってなるのが嫌いだ。

 

めっちゃタイプの人と事に至った時、ベッドの中で、

「この人めっちゃタイプなのに腕の毛をちまちま剃ってるんだ……」と幻滅したことがある。

 

それも今はむかし。

そもそも誰かに体を見せる機会もまったくないので、ますます体毛のケアをする気が消え失せている。

 

そんな折(というか今日)、

午後あたりから乳首が痛かった。

チクチクのような、ムズムズのような。

とにかく体を動かすたびに乳首が痛いのだ。

 

「やだ……敏感な乳首になっちゃった……。まるでおととい観た『性の劇薬』の主人公みたい……(ネタバレ」

 

なんて思うはずもなく、

「ニキビ!?乳首にニキビができたの!?」とひとり静かにビビっていた。

 

公衆の面前で乳首を確認することも出来ず、微妙な不快感とともに生活していた。

 

そして先ほど帰宅。

家に入ると同時にシャツを脱ぎ、

わがままボディを隠している肌着をむんずとまくりあげて驚愕した。

 

 

刺さってた。

 

雑に伸ばした乳首毛〈ちくびげ〉の先端が皮膚に刺さってた。

へぇ。刺さるんだ……毛って。乳首に……。

 

乳首毛〈ちくびげ〉が見せつけてくれた生命の神秘に感動することもなく、刺さっている毛先を乳首からそっと抜いた。

 

「ふーん、意外と長いじゃん」

と思いつつ、なんだか怖くなったのでその毛を摘んで毛根から抜いてゴミ箱に捨ててやった。

 

見せる機会とかそういうことの前に、毛は凶器になる。

この一点のためだけに体毛のケアは行った方がいいなと学んだ。そんな日曜日である。